整備ソフトの価格を調べようとすると、多くのメーカーのサイトで「要問合せ」「お見積り」と書かれています。これは価格を隠しているというより、構成によって金額が変わるため、単一の価格を出せないという事情があります。この記事では、なぜ整備システムの価格は非公開が多いのか、その中でどうやって正確な金額を引き出すのかを解説します。
整備システムの価格が非公開になりやすい4つの理由
1. 構成によって金額が大きく変わる
整備ソフトの料金は、端末台数・搭載データベース・オプション機能の組み合わせで決まります。同じソフトでも1台構成と5台構成では倍以上の差が出るため、「月額◯◯円」と1つの数字を出すと誤解を招きます。非公開の背景の多くはこれです。
2. パック(リース)契約が前提になっている
ソフト・ハード・初期設定をまとめて5〜6年のリースにする販売形態では、金額はリース会社の審査や期間で変動します。定価を出しにくい構造になっています。
3. 販売代理店ごとに条件が異なる
メーカーが直販ではなく代理店経由で販売している場合、初期費用やサポート範囲が代理店ごとに違います。メーカー側が統一価格を出せないケースです。
4. 競合に価格を知られたくない
純粋に営業戦略として非公開にしている場合もあります。逆に言えば、価格を公開しているソフトは価格競争力に自信があるとも読めます。
価格を公開しているソフトは相場の基準になる
少数ながら公式サイトで料金を明示しているソフトがあります。相場をつかむ基準として有用です(2026年8月時点の公開情報)。
- 無料版を常設するクラウド型…基本料金0円。有料版は月額6,000円前後、追加ライセンスは1台あたり月3,000円前後
- 売上管理型の整備ソフト…月額9,800円〜。オプション機能が月2,000〜5,000円で追加される体系
- 整備・車販・鈑金の統合型…日本カーネットのDREAM POWERは月額6,000円〜、2台目2,000円・3台目以降1,000円
これらから読み取れるのは、1台目の基本料金は6,000〜10,000円前後に集中しており、差がつくのは追加ライセンスとオプションだということです。「要問合せ」のソフトから見積りが届いたとき、この相場から大きく外れていれば理由を確認すべきサインになります。
正確な金額を引き出す見積り依頼の方法
「いくらですか」と聞くと「構成によります」と返ってきます。先に構成を指定して聞けば、具体的な金額が返ってきます。次の5項目を書いた1枚のメモを、各社に同じ内容で渡してください。
- 同時に使う端末台数(例:フロント1台・工場1台・事務1台の計3台)
- 必要なデータベース(例:日整連作業点数と純正部品のみ。諸元・新車は不要)
- 印刷したい帳票(例:見積・請求・領収書・継続検査書類・点検整備記録簿)
- 契約形態の希望(例:リースは組まない。最低利用期間は1年まで)
- 移行したい既存データ(例:顧客3,000件・車両4,500件・過去2年分の伝票)
この条件を揃えるだけで、届いた見積書をそのまま横並びにできます。整備システムの比較で最も効くのは、機能表を眺めることではなく条件を揃えることです。
見積書が届いたら必ず確認する6項目
| 確認項目 | 聞き方 |
|---|---|
| 追加ライセンス料 | 「2台目・3台目はそれぞれ月いくらですか」 |
| データ更新料 | 「作業点数や部品データの更新は月額に含まれますか」 |
| アップデート費用 | 「法改正対応は無償ですか、保守料が別途必要ですか」 |
| サポート料 | 「契約期間中の電話・リモート対応は無償ですか。回数制限はありますか」 |
| 最低利用期間と解約手数料 | 「最短で何ヶ月で解約できますか。違約金はいくらですか」 |
| 解約時のデータ出力 | 「顧客・車両・伝票・入金をCSV出力できますか。費用はいくらですか」 |
この6項目はすべて「月額」の外側にある費用です。ここを確認せずに月額だけで決めると、5年後の総額が想定の1.5倍になることがあります。
価格交渉で効くのは「他社の同条件見積り」
値引きを引き出したい場合、感覚的に「もう少し安くなりませんか」と伝えても効果は限定的です。同じ構成条件で取った他社の見積書があると、交渉の具体性が変わります。「他社は同じ3台構成・同じデータ搭載でこの金額でした」という事実提示は、営業担当が社内で稟議を通す根拠にもなります。
また、年度末や決算期は条件が動きやすい時期です。急ぎでなければ、時期を意識して交渉するのも有効です。
まとめ
整備ソフトの価格が非公開なのは、隠しているというより構成依存だからです。こちらから構成を指定すれば、具体的な金額は必ず出てきます。端末台数・データベース・帳票・契約形態・移行データの5項目を固めて同条件で複数社に依頼し、月額の外側にある6つの費用を確認したうえで5年総額で比較する。この手順を踏めば、非公開でも価格は正確につかめます。
40社の料金体系と契約条件を一覧で確認したい方は、整備ソフトの料金・費用相場ページから比較表を無料でダウンロードいただけます。